0の0乗は1がよいのか、よいのである
先日、興味深いページを見た。
筆者も大分昔調べたことがあり、当時の自分の中では納得のいく結論にたどり着いたことを思い出した。
そして唐突ではあるが、この「0^0問題」を自分なりに解説する。
背景
0^0 は、結果が3パターン考えられる。
(i) 1
(ii) 0
(iii) 定義されない
それぞれどういう理屈なのかは、↑のURLを参照してほしい。
または下記wikipediaを参照してもよい。
率直に言って、↑のwikipediaにすべて書いてあるが、このまま説明を続ける。
さっそく結論を言うと、「0以上の整数を扱う場合、0^0=1と定義するといろいろ便利」ということである。
0^0の計算
これから説明するにあたっていくつか前提があるが、基本的に高校数学の範囲の知識で説明する。
筆者には大学数学以上の知識が無いからである。
y=x^t のニ変数関数において、x→+0,t→±0 の時のyの極限値が 0^0 の計算結果と考えることができる。
(x, tは実数。そして指数の定義により、xは0より大きい実数。)
途中の説明を省いてしまうがこの考え方の場合、(x,t)→(+0,±0)の近づき方によってyの極限値は異なる。
(詳細は、↑のwikipediaを参照。)
例えば、
(1) 指数をt=0で固定した場合、x→+0でy=1である。
(2) 底をx=0で固定した場合、t→+0でy=0、t→-0でy=+∞である。
(+0の逆数は+∞。)
(ただし指数の定義により、そもそもx=0とはできない。なので、非連続な結果になってしまうのもやむなし。)
(3) t=1/(log x)とするとy=x^{1/(log x)}となり、x→+0でy=eである。
他にも、+∞や振動したりする場合もある。ただし、負の実数には収束しない。
0より大きい整数の場合
なぜ整数の範囲に絞って考えるかというと、実数の範囲で考えると上述したとおり原点(0,0)への近づき方によって0^0の値が異なり、これ以上考えても面白い結果が得られないからである。
逆に言えば、整数の範囲に絞って考えると面白い結果が得られる。
先ほどと同じように、y=x^t のニ変数関数と置いて考える。
(x,tは整数。指数の定義により、xは0より大きい整数。)
整数の場合、実数の場合と異なり原点(0,0)への近づき方はある意味で有限である。
x-t平面をイメージすると分かりやすいと思うが、xは0より大きい整数であることを考慮すると、ある意味で原点に隣り合う点と言うことができるものが3点ある。
上から時計回りに、(1,1), (1,0), (1,-1) である。
これ以外の点は、原点から少し離れていると言える。
そして、それぞれの点から原点に向かうx-t平面の直線を考える。
(a) (1,1), (1,-1)の場合
t=±xの直線
(b) (1,0)の場合
t=0の直線
それぞれをy=x^tに代入して考える。
(a) t=±xの直線
y=x^±xとなり、これはx→+0でy=1である。
(b) t=0の直線
これは上述の(1)のケースであり、x→+0でy=1である。
以上より、0より大きい整数の場合、0^0→1と言える。
t=axの直線の場合
ここでもう少し範囲を拡張して、t=axの場合を考える。
(aは実数。)
(c) t=axの直線の場合
y=x^(ax)=(x^x)^aとなり、これもx→+0でy=1である。
整数のあらゆるケースで、x→+0でy=1になることがお分かりいただけただろう。
底が0の場合
今度は底が0、つまりy=x^tにおけるx=0の場合を考える。
そこまで考えないと、0^0における左側の0をきちんと検証したことにならないからである。
(d) x=0の直線の場合
これは上述の(2)のケースであり、tの近づく方向によってyの値が大きく異なる。
やはり、定義域外のことを考えるのは止めた方がいい。。。
他方、t=axで傾きaが非常に大きい値(≠±∞)の場合、
つまりほぼ垂直な直線の場合でもx→+0でy=1になるのである。
(だけど、x=0はNG。)
この底x=0だけがいかに例外なのか、理解していただけただろうか。
仕方無いので無視しましょう。
0^0=1とすると便利なこと
二項定理の公式や指数関数exp(x)の定義式が簡潔に表現できる。
詳細は、↑のwikipediaを参照。
まとめ
「0以上の整数を扱う場合、0^0=1と定義するといろいろ便利」であり、
0以上の整数において0^0の計算をいろいろ検証した結果、0^0=1としてもよさそうでした。