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情報処理安全確保支援士試験 合格への道のり

2017年4月16日(日)に開催された、情報処理安全確保支援士試験に合格した。
今回は、その合格までの道のりを書こうと思う。
このブログを読んでくれた方が、情報処理安全確保支援士試験を受験するきっかけになれば幸いである。

1.全体スケジュール

最初に、手続きに関わる大まかなスケジュールについて説明する。
勉強に夢中で手続きをしていなかった、なんてことがないように注意願いたい。

スケジュールは、IPAのサイトに記載されている。

www.jitec.ipa.go.jp


今回受験した「平成29年度春期試験」のスケジュールは、以下の通りである。

スケジュール

1.申込み(インターネット:平成29年1月12日(木)10時 ~ 2月20日(月)20時)
2.受験票の到着(3/31(金)に発送)
3.試験の受験(4/16(日))
4.合格発表(6/21(水))
5.合格証書の到着(7/6(木)に発送)
(6.情報処理安全確保支援士の申請)

2.前提

具体的な勉強方法を話す前に、筆者がどれくらいITに関わってきたのかについて記す。
スタートラインを明確にすることで、今回説明するスタートからゴールまでの合格への道のりの長さを知ることができると思うからである。

IT経歴

筆者が本格的にITに関わるようになったのは、大学で研究室に配属されてからである。
それまでは、講義で多少触れる程度であり、ITの専攻ではなかった。
配属された研究室は、ITの研究室であり、在籍していた学生の多くがITを専攻している学生だった。
その研究室で、大学院修了までITの研究をした。
ただ、研究内容は情報セキュリティとは関係のないものである。
会社に入社した後も、ITの仕事を続け、今に至る。
(これも情報セキュリティとは関係ない。)
情報処理安全確保支援士試験を受験しようと思ったのは、情報処理安全確保支援士がITの国家資格だからである。
ただ、これで飯を食べようというわけでなく、飯が食べれるとも思っていない。
個人的にだが、国のIT政策を憂いている。
この情報処理安全確保支援士も、経済産業省の官僚が己の野心のために、箱だけ作ったに過ぎない。
官僚が評価され出世するためには、箱を作ればよく、中までは誰も見ないし評価されない。
そうやって、作ったはいいが誰も利用しないモノを作っている間に、海外との差はさらに広がるばかりである。
話が逸れてしまったが、また、筆者は応用情報技術者試験に合格している。
(なので、手続きの方も慣れている。)
これに合格していると、試験の中の午前1(共通知識)が免除される。
(免除される条件は、他にもある。)
情報セキュリティそのものの知識についてだが、今まで情報セキュリティに関わったことはなく、IT業界の人なら誰もが知っているような共通知識レベルは持ち合わせているといった感じである。
以上のような前提知識で、情報処理安全確保支援士試験の勉強を始めた。

3.勉強方法

準備

まず、参考書を購入した。
ネームバリューから、以下の2冊を購入した。
・平成29年度【春期】【秋期】情報処理安全確保支援士 合格教本 (情報処理技術者試験)
・情報処理教科書 情報処理安全確保支援士 2017年版

情報処理教科書 情報処理安全確保支援士 2017年版

情報処理教科書 情報処理安全確保支援士 2017年版

 

 

 また、非常にお世話になったサイトを紹介する。

www.sc-siken.com

IPAは、このサイトの管理人に感謝すべきだと思う。

勉強方法

すぐには勉強に取り掛からず、まずは試験概要を把握した。
応用情報技術者試験を受験しているため、大体は知っていた。)
試験区分として4つに分かれており、それぞれ
・午前1 共通知識(選択) (←筆者の場合、これは免除)
・午前2 情報セキュリティ知識(選択)
・午後1 情報セキュリティ知識(記述)
・午後2 情報セキュリティ知識 長文(記述)
といった構成になっている。
この中で一番ネックとなるのが午後1・午後2である。
試験の合格基準は、4つすべての試験区分で60%以上の点数を取ることであるため、記述式で難しい午後1・午後2においても、それぞれ60%以上の点数を取る必要がある。
つまり、午前1・午前2で点数を稼いでも意味がない。
逆に言えば、午後1・午後2で60%以上の点数を取れる実力ならば、午前2も60%以上の点数を取れると思われる。
(午前1は出題分野が違うため、そうとは限らない。)
記述式の問題は小手先のテクニックが効きづらいため、情報セキュリティ知識の基礎をきちんと固める必要があるという結論に至った。

次に、計画を立てた。
参考書をパラパラとめくり、1か月あればできるだろうと判断し、1か月のスケジュールを組んだ。
大まかなスケジュールは、以下の通りである。
1.情報セキュリティ知識の習得(3週間)
2・午前の選択問題対策(0.5週間)
3・午後の記述問題対策(1週間)

1.情報セキュリティ知識の習得(3週間)

情報セキュリティの知識をしっかり身につけるために、「合格教本」の「第1部 知識のまとめ」を音読することにした。(約460ページ)
ここで心掛けたことは、分からないことを分からないままにしないということである。
ITをある程度知ってはいたが、初めて聞く用語が多く出てきた。
それらを一々理解するまで調べるのは面倒だと思うが、それだと午後の記述問題に対応できないため、そこはしっかりやるべきである。
(IT業界の人であれば、分からない用語がたくさんある中で、一つ一つ丁寧に調べて理解するなんてことは、慣れていると思うが。)
時間は3週間ということで21日あり、量としては460ページあるため、1日あたり約22ページのペースで音読した。
音読自体は大体30分で終わり、調べ物も30分で終わるため、
1日あたりの勉強時間は1時間ぐらいである。
「合格教本」の「第1部 知識のまとめ」が終わるまで、1時間程度の勉強を毎日継続して行った。

2.午前の選択問題対策(0.5週間)

午前の問題への対策だが、ひたすら過去問を解いた。
解いた範囲は、4年間分(平成25年度~平成28年度)の春・秋の過去問である。
情報処理安全確保支援士ドットコム」を利用して、午前の対策を行った。
本当は、合格教本の付録を利用してやる予定だったが、
サイトの方が場所を選ばずに行えたので、サイトばかりを利用した。
「1.情報セキュリティの習得」で時間をかけたので、最初に解き始めた時はスラスラ解けると思っていたが、意外とできなかった。
解き方にコツというか慣れが必要だという印象を受けた。
2週目からは、かなりの高得点を取ることができた。
また、過去に出されたものと同じものが結構出題されているということも判明した。
今振り返ると、午前の対策は結構楽であった。

3・午後の記述問題対策(1週間)

午後の問題への対策も、ひたすら過去問を解いた。

情報処理安全確保支援士ドットコム」 は、午後の問題に対応していないので、「合格教本」の「第2部 長文問題演習」を解いていった。

実際に解いた範囲としては、午後1の問題部分については1周、午後2の問題部分については半周といった感じで、全部解いた訳ではない。
応用情報技術者試験の時から分かっていたことだが、午前と午後とでかなり問題の毛色が異なるため、午前がよくできたからといって、午後もよくできるという訳ではない。
また、「合格教本」には、午後の問題の解答に対する解説が書いてあるが、分かりやすい解説もあれば、遠回りな解説の仕方をしているような印象を受けた部分もあった。
そもそも、「合格教本」の第1部において少ししか触れていない用語に対して、午後の問題では結構深くまで問われているような場合がいくつか見受けられ、合格教本が意外と不親切だということが判明した。
よって、網羅性が高い「情報処理教科書」も購入することにした。
前に参考書を2つ挙げているのは、そういった経緯からである。
参考書はどれも一長一短があり、「情報処理教科書」だけやるとなると、確実に合格できると思うが、時間がかかり、ただ試験に合格すればいい人にとって効率は良くない。
というわけで、以下のように2冊を使い分けた。

合格教本」          :教科書:要点をしぼっており、分かりやすい。
情報処理教科書」:辞書    :出題範囲を網羅しており、解説も詳細に書かれている。
(名前と印象が合っていないのが、ややこしいが。)

午後の問題は解くだけで疲れ、解説の理解するのにも疲れるため、骨が折れた。
試験直前まで勉強し、試験当日は3時間睡眠で挑むことになった。

4.試験当日

試験当日だが、午前1の試験が免除されているため、朝は早くなかった。
午前1の試験開始前には試験会場付近に到着し、「合格教本」をパラパラと読み、心に余裕がある状態で、午前2の試験に臨んだ。
実際、午前2は簡単だったので、スムーズに午後の問題へと気持ちを切り替えることができた。
良い状態で、午後の問題に取り組めた。
だが、午後の問題は予想通り難しく、なんとか回答は全部埋めたといった有様だった。
試験が終わった直後の感触では、合格するか否かは本当に分からないといった感じだった。

5.試験後

仕事に忙殺され、あっという間に合格発表の日がやってきた。
結果は冒頭に書いてある通り、合格であった。
合格した後は、情報処理安全確保支援士の申請をする予定である。
ちなみに、この申請や登録された後の講習に高額な費用が必要である。
勤めている会社では、これは会社負担の対象になっていないため、自腹で払わらなければならない。
なので、登録だけして、講習は受けないつもりである。
講習を受けないと折角の登録が取り消されてしまうが、調べた所そんなに重い罰則ではないようである。
金銭の損得の観点で考えると、登録だけするのがお得であると判断した。

6.感想

思いつきではあったが、結果、情報処理安全確保支援士試験に合格できたことは、素直に嬉しい。
勉強する側からすると、どこでも勉強できるというのは、かなり有難いと感じた。
その点において、 「情報処理安全確保支援士ドットコム 」にはお世話になりました、ありがとうございました。

また、電子書籍を試したりもしている。
「情報処理教科書」は、Kindle版のものを購入した。
(「合格教本」の方は、実物である。)
家の大きなモニタで見る分には見やすいが、通勤途中でスマホで見るには堪えた。
筆者の場合、通勤は片道で満員電車1時間立ちっぱなしであり、
集中して勉強するのが難しい環境ではあるため、スマホうんぬんより通勤環境に堪えたかもしれない。
ベッドの上で寝転がった見る分には、軽くて便利であった。
(画面が小さいのが気になったが。)
実は、今回購入したKindle版の「情報処理教科書」は、固定レイアウトうんぬんの関係で、文字列が検索できないものであった。
電子書籍の長所の1つが体験できず、残念である。
電子書籍を購入する際は、何ができるのかいろいろと調べた方がよさそうである。
(文章をコピーできるようになると、著作権がうんぬんみたいな話もあるようだ。)

最後に、肝心の情報処理安全確保支援士の登録について、中途半端だと思われた方がいるかもしれないが、その中心を担っている経済産業省に期待はしていないので、この判断は間違っていないと断言する。
一度経済産業省の官僚の方々と関わったが、非常に悪い印象を受けた。
また、少し前に経済産業省の若手官僚による提言が話題になったが、見るに堪えない提言内容であった。
情報処理安全確保支援士もきっとずっと箱だけのままだろう。
せっかく出た芽であるのに、非常に惜しくてならない。